化粧水編

 そもそも角質層とは角質が10~20層積み重なった約0.02mm(食品用ラップと同じくらい)の層です。この角質層に水分量が30%あるのが肌にとってはベストな状態と言われています。
 肌のうるおいに必要なのは水分と油分、これらをバランスよく入れるのが重要です。このうち水分を角層内入れるのが化粧水の最重要任務です。
 化粧水のおよそ9割は水で、残りの約1割は美容成分、保湿成分で構成されていますが、化粧水に含まれる美容成分や保湿成分を角質内に届けることで角層内に水分を満たし、スキンケアの土台を作ります。

 ①500円玉大の量を目安に、手のひらにとった化粧水をハンドプレスし全体に馴染ませます。決して手を滑らせません。
 ②これをくりかえし、手のひらに化粧水が残るようになったら、角質層が満たされたサインです。

 次回は乳液編です。

保湿

①ハンドプレス
 クレンジングや洗顔でこすらないように気をつけても、保湿の際にこすってしまっては本末転倒です。肌を優しく包み込み、手の体温で肌に水分を入れてあげます。
②夜よりも朝の保湿
 時間のない朝は手を抜きがちですが、紫外線や外の空気にさらされる日中の方がよりスキンケアは重要です。保湿をしたらすぐに日焼け止めを塗って、10分は待ってからお化粧をします。皮脂がなじんで化粧崩れを起こしにくくなります。
③保湿、日焼け止めまでを一連のながれで
 朝起きたら、洗顔、保湿、日焼け止めまでを一連の流れで行うのがおすすめです。理由は先に述べた通りで、朝食などの後にお化粧をすればメイクが崩れにくくなります。

次回は化粧水編、乳液編と続きます。
 

すすぎの基本

①ぬるま湯であらう
 目安は32℃~34℃、さわってやや冷たいと感じる温度です。さわって温かいと感じるならそれは体温より高いからです。適度な温度のぬるま湯で洗うと、お肌に不要な汚れや角質をオフしながら、潤いは残すことができます。
②シャワーで洗い流すのは厳禁
 注意するのは温度だけではありません。シャワーの刺激はお肌への負担になります。敏感肌の方は特に注意しましょう。
③手ですくったぬるま湯は、やさしく顔にあてるだけ
 バシャバシャと顔にお湯をかけたり、お肌をこすったりするのは厳禁です。手にすくったぬるま湯に顔をつけるイメージです。
④すすぎは十分に行います。
 洗浄成分がお肌に残ると、刺激になり思わぬ肌トラブルを招きます。特にくぼんだ所に洗浄成分が残りやすいため、鏡をみながらすすぎ残しがないか確認しましょう。

次回は保湿編です。

オイルクレンジングの注意点

 しっかりメイクをした日には、オイルクレンジングが欠かせません。しかしながら使い方を誤ると、肌を乾燥させトラブルのもとになります。

①肌をこすらずメイクを落とすには、たっぷりの量が必要です。量が少なすぎるとオイルがなじまず、十分に乳化できません。
②指を軽く動かしてオイルがファンデーションの色になったら、なじんだサインです。
③少量の水を含ませて乳化(白っぽくなる)させてから洗い流します。
④クレンジングの時間が長いと肌の潤いを奪います。できるだけ短時間で済ませましょう。

次回はすすぎ方の基本です。

ミルククレンジングがなじむ・・とは?

 肌への負担を最小限に、メイクをきちんと落とすには、クレンジングがなじんだら、乳化させて、すぐにすすぐのが正解です。


①ミルククレンジングを肌に乗せ、軽く指を動かすとファンデーションが溶けだして全体がファンデーションの色になります。これがなじんだタイミングです。
②ここで少量の水を加えると白っぽく乳化します。このステップ(乳化)をとばして、洗い流すと汚れを含んだ洗浄成分が肌に残ります。かならず乳化させてから流しましょう。

 次回はオイルクレンジングの注意点です。

洗顔編

めざせ摩擦ゼロ洗顔!

①泡立てネットなどを使用して手のひらにたっぷりの泡を作ります。目安はピンポン玉3個分。苦手な人は泡で出てくるタイプの洗顔剤を。
②きめの細かい泡はその隙間に汚れを吸着します。名付けてバキューム泡。
③顔全体に泡をのせたら、垂直に押し洗い。名付けてモフモフ押し洗い。決して手を滑らせたり、くるくる洗いをしたりしません。
④全体になじんだら、すすぎも十分に。

こちらのブログもご参照ください。
あしたが変わるトリセツショー『洗顔』 | ゆげクリニック (yuge-clinic.com)

次回は、ミルククレンジングがなじむとは? です。

クレンジング編

自分のメイクの濃さに合ったクレンジング剤を選ぶ!

 普段ナチュラル系の薄いメイクをしているにもかかわらず、洗浄力の強いオイルクレンジングを使っている方を見かけます。メイクに対して洗浄力が強すぎると肌に必要な皮脂(油分)まで奪われて乾燥の原因となってしまいます。
 逆に、密着力の強いファンデーションを使っているにもかかわらず、肌への優しさを優先したミルクタイプのクレンジングを使っている方もいます。これではメイクを落としきれず、毛穴のつまりや吹き出物のの原因となります。
 自分のメイクの濃さに合ったクレンジング剤を選ぶことが美肌への第一歩です。

 次回のワンポイントアドバイスは“洗顔編”です。

あしたが変わるトリセツショー『洗顔』

 洗顔は、若々しくくすみのないお肌を保つために最も重要なポイントの一つです。
 先日NHKの番組『あしたが変わるトリセツショー』の中で「洗顔」のトリセツが放送されました。全面的に同意できるわけではありませんが、基本が抑えてあり、とても参考になります。
 以下のリンクからダウンロードできますので、ぜひ参考にしてみましょう。

「洗顔のトリセツ(取扱説明書)」ダウンロードはこちら
http://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2022_sengan.pdf

エステ等における脱毛トラブルについて

 暑い季節になり、肌の露出が増える時期になると、むだ毛の処理が気になりますね。特にコロナ禍で外出を控えるようになったせいか、時間的余裕のある時期に脱毛の施術を受けたいという方が増えています。それに伴って、脱毛エステをめぐるトラブルが急増しているとして、国民生活センターが注意喚起を行っています。
 同センターによると、脱毛エステをめぐるトラブルは年々増加傾向にあり、2021年度の相談件数は4106件と、2020年度より約1200件多かったとのことです。また昨年の4~6月は660件の相談があったが、今年は既に約3.1倍となる2053件の相談が集まっているといいます。21年度の相談件数は、10~20代が73.3%を占め、このうち女性が男性の約7.3倍に上ったとのことです。
 そもそも、厚生労働省は機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はそのほかの強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛頭部、皮脂腺開口部などを破壊する行為は“医師法17条違反”であると通達を出しています。脱毛は医療行為になり、基本的にはエステサロンでの脱毛は違法行為として禁止されています。
 エステサロン等の広告をみると全身脱毛とは書いてありますが、永久脱毛とは書いてありません。その辺りが非常にグレーな部分と考えられます。

「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」厚生労働省通達
医政医発第105号 平成13年11月8日付 (一部抜粋)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/kyougikai/h15/documents/131109-a.pdf

スキンケア、過ぎたるは猶及ばざるが如し

 『過ぎたるは猶及ばざるが如し』言わずと知れた孔子の教えです。何事も中庸が大切であるということですね。日々診療を行っていてスキンケアにも同じことが言えると感じています。 ①落としすぎ②こすりすぎ③塗りすぎ です。

①そのクレンジング必要ですか?

 クレンジングは一般的にメイクを落とすために使います。メイクアップ商品のほとんどは油性の原料で作られているからです。クレンジングにもオイルやジェル、ミルクなどの種類があり、最近ではバームなどが流行っていますが、それぞれに特徴があり、メイクの程度に対して強すぎる洗浄力をもつものを使用すると、かえって肌に大切な皮脂や角質、潤い成分まで落としてしまう可能性もあります。
 化粧水と日焼け止め、または洗顔で落とせるはずのパウダーファンデーション程度しかしてないにも関わらず、必ずクレンジングを使用するといる方も見られます。ウォータプルーフの日焼け止めであればクレンジングを使用する意義はありますが、そうでない場合が多いように思います。
 また一方で、肌あれで悩む方の中には、肌荒れを隠すために、カバー力の高いファンデーションを使用し、それを落とすために強い洗浄力をもつクレンジングを使用して余計に肌を痛めてしまうという負のサイクルに陥っている方も多く見られます。
 クレンジングで毛穴ケアができる、などの考えもあることは承知していますが、何事もその方の肌質次第、行き過ぎたケアは禁物ということでしょうか。

②洗顔は手が肌に触れないように

 カウンセリングに来られた方の洗顔を見ていると、まるで汚れ物を洗うかのような洗顔の仕方をする方がいらっしゃいます。肌のよごれのほとんどは、水と油とタンパク質(汗と皮脂と角質)ですので、あくまで界面活性剤で落とすものです。泡をのっけてあげれば十分なんです。油でよごれた食器や皮脂で黄ばんだ洋服をゴシゴシこすっても汚れは落ちないばかりか、むしろ素材を痛めてしまうだけですね。肌と手の間に泡のクッションを作り、手が直接肌に触れないよう洗顔することを心掛けてみましょう。
 肌老化の8割は紫外線と言われていますが、残りの2割に占める摩擦の割合は決して少なくありません。

③必要なものを必要なだけ

 繰り返しになりますが、何事もほどほどが大切です。ファンデーションも日焼け止めも、それをおとすクレンジングや洗顔も、必要ないものはしないに越したことはありません。カバー力の高いファンデーションは、落とす時にお肌に負担がかかります。ウォータプルーフの日焼け止めも同様です。可能であれば、パウダーファンデーションに変えてみたり、日常の生活ではウォータープルーフでない日焼け止めを使用したり、落とす時のことを考えた、塗りすぎないスキンケアを心掛けてみてはいかがでしょうか。

スキンケアは引き算で

 肌質は人それぞれですのですべての人に当てはまるわけではありません。しかしながら、肌あれで悩んだ時、スキンケアに迷った時にはアイテムを増やすよりは、まず不要なものを減らしてみることを検討してはいかがでしょうか。