エステ等における脱毛トラブルについて

 暑い季節になり、肌の露出が増える時期になると、むだ毛の処理が気になりますね。特にコロナ禍で外出を控えるようになったせいか、時間的余裕のある時期に脱毛の施術を受けたいという方が増えています。それに伴って、脱毛エステをめぐるトラブルが急増しているとして、国民生活センターが注意喚起を行っています。
 同センターによると、脱毛エステをめぐるトラブルは年々増加傾向にあり、2021年度の相談件数は4106件と、2020年度より約1200件多かったとのことです。また昨年の4~6月は660件の相談があったが、今年は既に約3.1倍となる2053件の相談が集まっているといいます。21年度の相談件数は、10~20代が73.3%を占め、このうち女性が男性の約7.3倍に上ったとのことです。
 そもそも、厚生労働省は機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はそのほかの強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛頭部、皮脂腺開口部などを破壊する行為は“医師法17条違反”であると通達を出しています。脱毛は医療行為になり、基本的にはエステサロンでの脱毛は違法行為として禁止されています。
 エステサロン等の広告をみると全身脱毛とは書いてありますが、永久脱毛とは書いてありません。その辺りが非常にグレーな部分と考えられます。

「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」厚生労働省通達
医政医発第105号 平成13年11月8日付 (一部抜粋)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/kyougikai/h15/documents/131109-a.pdf

スキンケア、過ぎたるは猶及ばざるが如し

 『過ぎたるは猶及ばざるが如し』言わずと知れた孔子の教えです。何事も中庸が大切であるということですね。日々診療を行っていてスキンケアにも同じことが言えると感じています。 ①落としすぎ②こすりすぎ③塗りすぎ です。

①そのクレンジング必要ですか?

 クレンジングは一般的にメイクを落とすために使います。メイクアップ商品のほとんどは油性の原料で作られているからです。クレンジングにもオイルやジェル、ミルクなどの種類があり、最近ではバームなどが流行っていますが、それぞれに特徴があり、メイクの程度に対して強すぎる洗浄力をもつものを使用すると、かえって肌に大切な皮脂や角質、潤い成分まで落としてしまう可能性もあります。
 化粧水と日焼け止め、または洗顔で落とせるはずのパウダーファンデーション程度しかしてないにも関わらず、必ずクレンジングを使用するといる方も見られます。ウォータプルーフの日焼け止めであればクレンジングを使用する意義はありますが、そうでない場合が多いように思います。
 また一方で、肌あれで悩む方の中には、肌荒れを隠すために、カバー力の高いファンデーションを使用し、それを落とすために強い洗浄力をもつクレンジングを使用して余計に肌を痛めてしまうという負のサイクルに陥っている方も多く見られます。
 クレンジングで毛穴ケアができる、などの考えもあることは承知していますが、何事もその方の肌質次第、行き過ぎたケアは禁物ということでしょうか。

②洗顔は手が肌に触れないように

 カウンセリングに来られた方の洗顔を見ていると、まるで汚れ物を洗うかのような洗顔の仕方をする方がいらっしゃいます。肌のよごれのほとんどは、水と油とタンパク質(汗と皮脂と角質)ですので、あくまで界面活性剤で落とすものです。泡をのっけてあげれば十分なんです。油でよごれた食器や皮脂で黄ばんだ洋服をゴシゴシこすっても汚れは落ちないばかりか、むしろ素材を痛めてしまうだけですね。肌と手の間に泡のクッションを作り、手が直接肌に触れないよう洗顔することを心掛けてみましょう。
 肌老化の8割は紫外線と言われていますが、残りの2割に占める摩擦の割合は決して少なくありません。

③必要なものを必要なだけ

 繰り返しになりますが、何事もほどほどが大切です。ファンデーションも日焼け止めも、それをおとすクレンジングや洗顔も、必要ないものはしないに越したことはありません。カバー力の高いファンデーションは、落とす時にお肌に負担がかかります。ウォータプルーフの日焼け止めも同様です。可能であれば、パウダーファンデーションに変えてみたり、日常の生活ではウォータープルーフでない日焼け止めを使用したり、落とす時のことを考えた、塗りすぎないスキンケアを心掛けてみてはいかがでしょうか。

スキンケアは引き算で

 肌質は人それぞれですのですべての人に当てはまるわけではありません。しかしながら、肌あれで悩んだ時、スキンケアに迷った時にはアイテムを増やすよりは、まず不要なものを減らしてみることを検討してはいかがでしょうか。