皮ふ科

ニキビ、湿疹、じんま疹、水虫、虫刺されなど、肌の症状を解決します。
いぼ

いぼ

水いぼ、疣贅

 どちらもウイルスが原因の疾患です。ひっかりたり、削ったりすることで広がってしまうことがありますので適切な治療が必要です。大きさ、数、部位によって内服、外用、液体窒素を使い分け、また場合によっては切除、レーザー焼灼も行います。

水いぼ(伝染性軟属腫)

原因と特徴

 伝染性軟属腫ウイルスが原因で、ほとんどが子供にできます。光沢のある数㎜の皮膚の盛り上がりが、四肢、体幹に多数見られますが、手のひら、足の裏にはほとんどできません。

治療

 ピンセットでイボをつまんで取り除く、いわゆるイボ取りが確実で早い治療法ですが、痛みを伴うことが欠点です。麻酔のテープを1時間前に貼付してから行うこともありますが、完全には痛みをコントロールできるわけではありません。自然に治ることも多いため、外用で気長に治療する考えや放置してもよいとのいう先生も多くいらっしゃいます。

※保護者の希望や本人の年齢、性格等によって臨機応変に対応しますが、経過を見ているうちに数が増えて結局イボ取りを行うことになることも少なくありません。個人的には少ないうちであれば、イボ取りを行う方が結果として痛みも最小限に抑えられ、早く治せるように感じています。

水いぼがあってもプールは入れるか?

 夏の時期になると『水いぼの治療をしないと、保育園、幼稚園のプールに入れてもらえない』と外来に来られる方が多くみられます。皮膚科学会や小児科学会では、水いぼがあるとプールに入れないというのは間違いであると明記されています。

皮膚の学校感染症について
日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説
保育所における感染症対策ガイドライン

 そもそも、水いぼは接触感染でうつりますので、園での日常の生活や、おもちゃを介してうつることも十分ありえます。プールだけが特別視されるのはおかしいですね。注意点として、タオル・浮き輪・ビート板などの共用は避け、プール後は肌をシャワーできれいに洗うように心がけましょう。

尋常性疣贅(イボ)

原因と特徴

 ハピローマウイルスによって引き起こされます。表面に凹凸のある隆起した皮膚病変で手足の末端やあらゆる部位に見られます。ほとんどにイボは痛みやかゆみなどの症状を伴いません。子供に多く見られ、1~2年のうちに自然に消退することもありますが、触ることで周囲に広がってしまうこともよく見られます。  

治療

 保存的治療としては漢方薬の内服を行ったり、角質を柔らかくするテープを貼付したりします。そのほか液体窒素にて凍らせることによって皮疹を破壊したり、レーザーにて物理的に焼灼除去したり、大きさ・部位によっては局所麻酔下に切除したりすることもあります。
 さまざまな治療法がありますが、どれも一長一短で、残念ながら確実は方法がありません。医師とよく相談してご自身に適した治療法を選択しましょう。

青年性扁平疣贅

原因と特徴

 ハピローマウイルスによって引き起こされます。主に額や頬などの顔面、頚部、胸部、手背などに生じます。薄紅色で5mm~1cmほどの大きさの平べったい皮疹が多発します。表面はでこぼこした角化が目立ち、かゆみを伴います
 ウイルスは小さな傷などから体の内部に侵入し、感染します。眉などのムダ毛の処理後、髭剃りなどの後、蚊に刺された箇所を掻きむしった後などに感染し広がる傾向にあります。

治療

 青年扁平疣贅の多くは特別な治療を行わなくても自然に治ることもありますが、なかには長期にわたって皮疹やかゆみが消えないこともあります。ヨクイニンと呼ばれるハトムギから抽出した成分の漢方薬を内服する方法や、液体窒素で皮疹を凍らせて破壊する方法、レーザーにて物理的に焼灼除去する方法など、さまざまな治療が行われています。

ニキビ

ニキビ

ニキビってどんな病気?

 ニキビは毛穴がつまってできる病気です。毛穴には皮脂腺と呼ばれる皮脂を分泌する腺があります。皮脂を分泌することで通常皮膚を保護しているのですが、思春期になるとこの皮脂腺が大きく発達します。さらに性ホルモンの影響で皮脂が過剰に分泌されるようになり結果として毛穴をつめてしまいます。この状態をコメド(面皰:白ニキビまたは黒ニキビ)といい、コメドの内側でアクネ菌が増殖すると炎症を起こして赤ニキビ、さらに化膿して黄色ニキビになります。赤ニキビや黄色ニキビになると10個に1個は瘢痕(傷あと)になると言われていますので、できるだけ早期に治療を行うことが重要です。

ニキビ治療の今と昔

 以前は赤く膿んだニキビに対して抗生剤の内服と外用が中心の治療でしたが、赤いニキビだけを治療してもコメドがあると再発を繰り返します。ニキビが繰り返しできると、ニキビ跡に赤み(PIE:炎症後紅斑)が継続したり、PIH(色素沈着)を残したりすることがあります。したがってコメドの状態から適切にケアし、ニキビがゼロの状態を維持することが重要です。その状態を維持することで肌は徐々に生まれ変わりPIE、PIHのない綺麗な状態になります。


 最近では皮脂の排出をうながす薬、毛穴の角化を抑える薬、それらに加えて抗生剤を組み合わせた薬など、多種多様な薬が発売され治療戦略も大きく変化しています。ニキビ自体を作らせなくする治療またはニキビを再発させない治療(維持療法)が標準治療となってきているのです。

ディフェリンゲル®

 「アダパレン」という成分を0.1%含有するニキビ治療薬です。
 ニキビの原因となる過剰な皮脂分泌や毛穴のつまりに作用し、従来の抗菌薬では効果がなかった「毛穴のつまりを取り除く」効果があります。
 主に白ニキビ(初期の段階)に使用します。

ベピオゲル®

 「過酸化ベンゾイル」を主成分としたニキビ治療薬です。ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑えたり、角質を剥がれやすくしたりする効果が期待できます。
 白ニキビ、赤ニキビともに使用できます。まれにアレルギーが出るのが難点です。

 ※2023年5月31日より新たにベピオローション®が追加発売されました。以前のベピオゲル®はとても効果に優れた外用薬ではありましたが、刺激感が強く、一定の割合で継続使用が困難な方がいらっしゃいました。新たに追加されたローションは刺激感を抑えるとともにその剤形から使用感も改善されています。

2023年5月31日発売
エピデュオ®

 主成分に「アダパレン」と「過酸化ベンゾイル」を含むニキビ治療薬です。ニキビの原因となる、毛穴つまりの改善やアクネ菌の増殖を抑制します。
 ピーリング作用が強い分、副作用で痛みを感じやすいのも特徴的です。
 一般的にベピオ®やディフェリン®を使用して効果が乏しい方に使用します。

 また、いろんな薬を試したがニキビが治らないと来院される患者さんの中には、適切な外用薬を使っているが、その使い方が適切でない患者さんも多くみられます。当院では生活習慣の指導から外用の仕方までわかりやすく丁寧に説明し、本人に合った治療法を提案します。

内服薬

 肌の状態に合わせて、内服薬を選択します。
①抗生剤:赤ニキビや黄色ニキビが多数存在しているときには一時的に抗生剤の内服を検討します。ただし抗生剤は長期間使用することができませんので、あくまでも治療初期の段階で補助的に使用します。
②ビタミン剤:必要に応じて計測器を使用し、肌の水分量、油分量などを測ります。脂性肌、乾燥肌、混合肌など、肌の状態に合わせてビタミン剤の内服をお勧めすることもあります。
③漢方薬:年齢や性別、女性の場合には生理周期との関係などを考慮して抗面皰作用、抗炎症作用、抗酸化作用、抗男性ホルモン作用などをもつ漢方薬を使い分けています。

ニキビ治療のオプション

 さらには自費治療にはなりますが、アゼライン酸やその他ニキビ対策化粧品(iniks、NADICAL等)、ケミカルピーリングイオン導入フラクショナルレーザーフォトフェイシャルレーザーフェイシャルなどの治療も網羅し、あらゆる難治性のニキビにも対応できる体制を整えています。(詳しくは美容皮ふ科の案内をご参照ください)

 アゼライン酸は海外では昔からニキビの治療薬として使用されている成分ですが、日本ではあまり知られていません。海外では、医師が処方する医薬品として使用されている場合もありますが、日本では医療用医薬品としては認可されておらず、「化粧品の含有成分の1つ」という位置づけになっています。
 アゼライン酸は、もともと小麦やライ麦などの穀物や酵母などの天然由来のものに含まれる酸(飽和ジカルボン酸)であり、普段日常的に私たちが口にしているものに含まれています。そのような天然のものに含まれている成分であるため、肌に塗ったときの刺激感が少なく、妊娠中のニキビ治療にも使用が可能です

アゼライン酸の効果としては、
角化異常を抑制(古い角質が詰まり、角栓ができるのを抑制する)
抗菌活性
皮脂分泌を抑制
抗炎症作用
メラニン産生を抑制 など

があります。これらの作用を期待して、ニキビや酒さ(慢性的な赤み、ほてり)の治療にも用いられています。30年以上にわたり、世界各国でニキビ用医薬品として承認、使用されています。欧米のニキビのガイドラインでは、アゼライン酸による治療はセカンドラインでも推奨されていますが、日本では、皮膚科学会が策定している「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2016」において、アゼライン酸による治療は、「推奨度:C1(面皰・炎症性皮疹に,アゼライン酸外用を選択肢の一つ として推奨する.但し,保険適用外であることに配慮す る必要がある)」とされています。副作用がなく比較的安全に使えることを考慮すると、アゼライン酸はニキビや酒さ(赤ら顔)に対して使用することは、有効であると思われます。

マスクと大人ニキビ

 コロナ禍の昨今、公共の場においては常にマスク装着が求められる状況にあります。そんな中、口の周りにポツポツと小さな膨らみを主訴に受診される方が増えています。肌あれ?と思い込みがちですが、実はでき始めの「ニキビ」尋常性痤瘡 (じんじょうせいざそう) かもしれません。ニキビは思春期特有の疾患と思われがちですが、最近はこうした「大人のニキビ」が増えており、20代30代ばかりでなく40代50代の方にもよく見られます。
 20歳以降に見られる「大人のニキビ」は、あごや口の周囲、フェイスラインにできやすいのが特徴です。(ブログ参照)

ニキビで悩む方へ

 ニキビはつぶしたり、放置したりすると凸凹とした瘢痕(傷あと)を残してしまうことがあります。一旦瘢痕となると、それを薄くするのにかなりの時間と経済的負担を生じます。
 ニキビがあることで自分の顔に自信が持てず、人前にでることをためらう方もいるかもしれません。ニキビでいじめの対象になった、学校に行けなくなったということも残念ながらたびたび耳にします。悩んでいてもニキビは治りません。以前と異なり、ニキビはコントロールできる病気です。大人の方ももちろん、いずれ治ると放置せず、まずは相談してみましょう。

とびひ

とびひ

とびひとは?

 正式には伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)といいます。細菌が皮膚に感染して起こる病気で、ひっかいたりすることで全身に広がります。タオルや衣類、プール等を介して人にうつることもありますので、注意が必要です。
 かきむしった手を介して、あっという間に全身に広がる様子が、火事で火の粉が飛び火することに似ているため『とびひ』と呼ばれています。

原因

 とびひは、虫さされや汗疹(あせも)を掻いたり、小さなケガでできた皮膚の傷に細菌が入り込み、感染することで発症します。
 原因となる細菌は、主に黄色ブドウ球菌化膿性連鎖球菌の2つです。前者は健康な人の皮膚の表面や鼻の中に、後者は健康な人の鼻の中やのどにいる常在菌です。

治療

 抗菌薬の内服、外用のほかに、かゆみを抑える治療などを行います。
 皮膚のバリアが低下している状態でかかりやすい疾患ですので、普段から皮膚を清潔に保ち保湿スキンケアに心掛けることが大切です。

日常の生活で心がけること

①患部をいじったり、掻いたりしない
②皮膚を清潔に保つ
③タオルや衣類は共有しない

じんま疹

じんま疹

症状

 皮膚の一部が突然赤く盛り上がり(膨疹)、いつの間にか跡形もなく消えてしまいます。またそれが別の場所にでたり、繰り返しおこるのが特徴です。かゆみを伴い、数十分から数時間で症状が治まることがほとんどですが、まれに半日から1日以上続くこともあります。

分類

 じんま疹は大きく2つのタイプに分けられます。
 1つめは「原因がはっきりしているタイプ」です。これを”刺激誘発型のじんま疹”といいます。じん疹全体の約3割を占めます。原因がはっきりしているタイプ(刺激誘発型)」は、アレルギーや、汗、寒さ、水、圧迫、温熱、振動、こすれなどのさまざまな刺激が原因となります。
 2つめは「原因がわからないタイプ」です。これを”特発性のじんま疹”といい、約7割を占めます。
 

検査

 特定の原因が疑われる場合には、アレルギーテストを含めて採血等の検査を行うこともあります。

治療

 刺激誘発型のじんま疹の場合、原因となるものを探して避けるようにするとともに、抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬を用いて治療します。
 原因が明らかでない特発性のじんま疹の場合も、治療の基本は抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬ですが、多くの場合、疲労やストレスなどの因子が症状を悪化させますので、睡眠や栄養など体調管理に気をつけることも重要です。

その他

 6週間以内に症状が改善する蕁麻疹を急性じんま疹といい、6週間以上症状が継続するものを慢性じんま疹と言います。慢性じんま疹の場合、平均して6年の治療期間を要すると言われ、定期的な治療が必要になります。

ヘルペス、帯状疱疹

ヘルペス、帯状疱疹

分類

 一般的には、口唇ヘルペスや性器ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)と、帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の2種類を「ヘルペス」と呼ぶことが多いです。しかし、実際にはHSVとVZVは別のウイルスであり、治療法も異なります。

単純ヘルペスウイルス

特徴

 ヘルペスは1型と2型に分かれます。1型は口唇とその周囲に、2型は性器とその周囲に発症します。疲労や風邪、紫外線などのストレスにより小さい水ぶくれを頻回に繰り返す特徴があります。病変部を直接触れることにより他の人にうつしてしまうこともありますので注意が必要です。症状が出ているときはウイルスの量も多く、特に新生児、パートナー、アトピー性皮膚炎の方、免疫力の低下している人との接触には注意が必要です。    
 以前は小さいうちにほとんどの人が家族内で1型ヘルペスに感染していましたが、核家族化や衛生状態の変化によって20~30代の世代は約半分しか抗体を持っていないと言われています。

症状

 水ぶくれが現れるのに先立ち、皮膚にピリピリ、チクチクなどの違和感、ほてり、痛みなどを感じることがあります。再発を繰り返している人は自分でわかることが多いようです。

治療

 抗ウイルス薬の内服、外用を行います。

PIT(Patient Initiated Therapy

 再発性ヘルペスに対するPITという新しい治療方法(保険適用)があります。 PITとは、あらかじめ処方された薬剤を初期症状に基づき患者判断で服用開始する治療方法です。受診時に症状がなくても、口唇ヘルペスと診断されたことがあり、ご自身で初期症状の判断が可能な方は、再発にそなえてあらかじめお薬を処方してもらえる場合があります。くわしくは受診の際にお尋ねください。

水痘・帯状疱疹ウイルス

特徴

 神経痛様の痛みやぴりぴりとした違和感が先行し、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが、体の半分(片側)にのみ帯状に現れます。この症状に由来して帯状疱疹と名付けられています。痛みが先行するため、患者さんの中には『腰の痛みに湿布を貼っていたらかぶれた・・』といって来られる方が多くみられます。
 帯状疱疹は身体の中に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが疲労やストレス、加齢などが引き金となって再び活動を始めることにより発症します。日本人の成人ではおよそ9割がこのウイルスを体内に持っていると考えられており、水ぼうそうにかかったことがある人であれば誰でもなりうる病気です。
 帯状疱疹の発症率は、50歳代から高くなり、患者の約7割が50歳以上です。

症状

 ピリピリ、チクチクとする痛みやかゆみ、ひりひりとする皮膚の違和感を感じ、その後赤い斑点と小さな発疹を生じます。強い痛みを伴うようになり、症状は3~4週間程度続きます。
 治療が遅れると、水泡が消失した後も、強い痛みが残る後遺症(PHN:帯状疱疹後神経痛)に移行することもありますので注意が必要です。さらに問題なのはPHN以外にも帯状疱疹は多くの合併症を起こすことがあります。中枢神経系では脳髄膜炎、脊髄炎、血管系では脳血管障害、末梢神経系では運動神経麻痺、眼科系では眼瞼結膜炎、角膜炎、ぶどう膜炎、網膜炎、耳鼻科系では耳鳴、目眩、顔面神経麻痺などです。しかもこれらの合併症は一旦起きてしまうときわめて難治性です。

検査

 血液検査や顕微鏡で巨細胞を検出する検査、抗原検査などがあります。

治療

 抗ウイルス薬の内服、痛みを抑える鎮痛薬などを中心に行います。部位や症状に応じて外用剤も併用します。

その他

 周囲の人に帯状疱疹としてうつることはありません。しかしながらそのウイルスに対する免疫を保有していない方には感染する可能性があり、その場合、水ぼうそうを発症します。

予防接種

 50歳以上の方を対象としたワクチンがあります。弱毒化した生ワクチンと不活化ワクチンがあり、後者の方が発症予防効果が高く、効果持続も長いのですが、2回接種が必要であり、費用もやや高めです。一方前者は免疫抑制剤を使用されている方など接種できない方もいらっしゃいますので、予防に関する詳細は医師にご確認ください。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の特徴

 強いかゆみと発疹(ほっしん)が繰り返しあらわれる皮膚の病気です。発疹は、顔や首、肘、膝裏などにあらわれやすく、ひどくなると全身に広がります。
 皮膚を繰り返し掻くことにより、皮膚がゴワゴワと厚くなります。これを苔癬化と言います。さらに同じ部位を搔いていると皮膚が硬く盛り上がり、かゆみが持続するようになります。これを痒疹と呼びます。

アトピー性皮膚炎の皮膚の状態

 バリア機能が弱まることで水分が外へ逃げてしまうため、乾燥してカサカサしています。皮膚が乾燥していると、外部からの刺激によってかゆみを生じます。そこで掻いてしまうと、新たな傷ができ傷口が悪化して、皮膚の状態がさらに悪化してしまいます。掻いた刺激でかゆみが増すため、また掻いてしまう・・・という悪循環が生じます。

かゆみの原因

①アレルゲン:ダニ、ほこり、花粉、ペットの毛 など
②皮膚への刺激:衣服・汗・髪・化粧品・シャンプーの接触や摩擦、お風呂の熱 など
③心理的要因:ストレス、不安 など

かゆみの悪循環

①掻くことで、皮膚の状態が悪化
②皮膚の状態が悪化すると、バリア機能が低下
③バリア機能が低下すると、さらにかゆみが増す

皮膚のバリア機能を保つために

 皮膚のバリア機能を正常に保つためには、『3大保湿因子』をしっかりと補うことが重要です。正常な皮膚では、水分が保たれ、外部の刺激物質がブロックされています。
①天然保湿因子(NMF):水分を補う
 角質細胞の内部に水分をたっぷり補給します。アミノ酸などの成分があります。
②セラミド(細胞間脂質):水分を保つ
 水分保持作用が高く、角質細胞の間を埋めて潤いを保ちます。
③皮脂:水分をにがさない
 皮脂膜の働きを強化し、水分の蒸発を防ぎます。皮脂類似成分にスクワランがあります。

アトピー性皮膚炎治療 3つの基本
  1. 適切なスキンケア
     皮膚を清潔に保つことは大切なことですが、洗いすぎも返って逆効果になります。汚れを落とすことを目的にするのではなく、適切なスキンケアを目的にすることが大切です。

    a. あらう b. ながす c. つかる d. ふく e. 保湿

    a. 泡でやさしくあらうことがスキンケアの基本です。固形石鹸の場合は泡立てネットを利用して、また泡立てが苦手な方は最初から泡ででてくるボディーソープもおすすめです。『花びらに触れるように』を意識して。
    b. 泡はぬるめのお湯で十分にすすぎ、汚れとともにしっかりながしましょう。泡がのこるとそれが刺激になって皮膚炎を悪化させることがあります。シャンプーやコンディショナーも同様です。
    c. 熱いお湯に長く浸かると皮脂が溶け出し、乾燥してかゆみの原因となります。ぬるめのお湯にさっと入るのがおすすめです。また保湿成分が入った入浴剤を使用すると手の届きにくい背中など全身すみずみまでスキンケアが一度にできて簡単です。毎日のことですから、なるべく手をぬけるところは手を抜いて気軽に付き合えるようにしましょう。
    d. 水分をふきとるときはこすらないように、身体を包み込むようにしてふきましょう。敏感な肌をタオルでこすると小さな傷となり皮膚炎を助長します。健康な皮膚でもこすりすぎは炎症をおこしてシミのもとになります。『花びらに触れるように』を意識しましょう。
    e. 正常な皮膚では皮膚の水分が保たれ、外部からの刺激をブロックします。正常な肌の「角層」は、何層もの角層細胞が重なっています。その角層細胞どうしのすき間を満たし、細胞どうしや水分をつなぎとめているのが、肌の必須成分「セラミド」です。さらに、「スクワラン」は、もともと人間の肌の中にも存在するものですが、ほ乳類や植物に含まれる”スクワレン”からできた成分であり、水分や汗と混じって皮脂膜となり、乾燥や紫外線から肌を守る役割を果たしています。肌のバリア機能にはこれらの保湿成分が大きく関与しており、必要なものを適切に補うことが大切です。入浴直後に行うのがベストです。
  2. 薬物療法
     炎症には外用薬、かゆみには内服薬が使われます。外用薬はステロイドを中心とする治療であることは今も変わりませんが、それ以外の免疫抑制剤による治療の選択肢が広がっています。病状のコントロールの基本はできるだけ早くしっかりと炎症を抑え、その状態を長くキープすることです。以前に症状を繰り返している方は、「寛解導入」後も引き続きプロアクティブ療法(症状が良くなったあとも定期的に抗炎症薬を塗る)により「寛解維持(症状がおちついている状態をキープする)」を目指します。患者さんの状態に応じて薬の量、間隔を調整し、副作用を避けながらこの状態を維持できるようにしていきます。
     治療を開始すると、多くの方はすぐに見た目が改善しますが、皮膚の下では炎症が継続しています。このため、この時点で治療をやめてしまうと、すぐに湿疹が再発してしまいます。寛解維持期のケアがより重要になります。
     ※ステロイドに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、医師とよく相談したうえで、本人に合った治療法を選択しましょう。正しい治療を行うことで、症状が出ない状態にすることが目標です。
  3. 悪化要因を避ける
     汗、髪の毛や衣類との接触、掻破による刺激、化粧品、金属、シャンプーやリンス、ダニ、ほこり、花粉、ペットの毛、食物、ストレスなどで悪化することがあります。これらの要因に対してできるだけ対策することは大事ですが、あまり気にしすぎてそれがストレスになるものよくありません。何事もほどほどが大事です。

水虫

水虫

白癬、爪白癬

特徴

 白癬菌というカビが皮膚や爪に入り込んで起こる疾患です。皮膚の白癬はかゆみを伴ったり、ジュクジュクしたりしますが、爪白癬の場合はそのような症状を伴いません。爪が黄色く濁っていたり、分厚くなっていたりしたら要注意です。足のみに起きるとも限りませんので注意が必要です。

検査

 皮膚の表面から、または爪の裏側から組織を採取し顕微鏡にて白癬菌を検出する検査を行います。検査に伴う痛みはなく、数分で診断がつきます。

治療

 皮膚の白癬に対しては基本的に外用剤、爪白癬に対しては内服薬や外用剤にて治療します。皮膚の白癬に対しては市販の外用薬でも治療ができますが、爪白癬は市販薬では効果がありません。また皮膚の白癬は比較的早期に改善しますが、爪の白癬は基本的に爪が生え変わるまで根気強く治療を行うことが大切です。
 爪白癬は症状がほとんどないため、自己判断で中止すると必ず悪化します。糖尿病や動脈閉塞症などの疾患をお持ちの方は、感染から壊死、切断に至ることもありますので、最後までしっかり治療を行いましょう。

その他

 スリッパやバスマット等を介して他の人にうつりますので、家庭内だけでなく入浴施設やフィットネスクラブ等でも注意が必要です。特に家庭内では、一人だけ治療しても他の方が罹患しているとお互いに菌を移しあい、再感染を起こすことがあります。かならず家族全員が治療を行いましょう。

顔や首のイボ(脂漏性角化症など)

顔や首のイボ(脂漏性角化症など)

 「顔や首のイボ」を主訴の来院される患者さんはたくさんいらっします。患者さんのいう「イボ」には、いろいろな疾患が含まれていますが、そのほとんどが脂漏性角化症や軟性繊維腫(アクロコルドン)です。顔の脂漏性角化症の場合、加齢や紫外線が主な原因です。一方、軟性線維種(アクロコルドン)の場合、首の周りや脇の下など皮膚が擦れる部分に多発する傾向にあります。これらの「イボ」は、良性であるため放置しても何も問題はありませんが、人目につきやすいため気にされて来院されるようです。またかゆみを主訴に来院される方もいらっしゃいます。

治療

 顔の脂漏性角化症の場合、一般的に液体窒素を利用した凍結療法がおこなわれています。-196℃の液体窒素を「顔のイボ」にあて凍結することで、徐々にかさぶたとなり、1週間程度で脱落します。治療に伴う痛みは少なく、首や腋窩、体幹部にも可能ですが、顔以外の部位は色素沈着を起こしやすいことが欠点です。
 首や腋窩の茎のある小さな「イボ」の場合には、ハサミで切り取るのが簡単できれいになります。ほんの一瞬チクっとした痛みはありますが、ほぼ出血もありません。麻酔を希望される方もいらっしゃいますが、麻酔の注射の方がむしろ痛みを伴いますので、そのまま切り取るのをお勧めしています。
 その他、首や体幹部に多発する 茎のない平坦な 「イボ」 には、当院では炭酸ガスレーザーで蒸散させる方法をお勧めしています。部位や大きさによっては局所麻酔下に行うこともありますが、周囲への熱損傷の少ないSPモードを使用することで麻酔無しでも短時間で多数の 「イボ」 に対応可能です。
 いづれの場合も、当日から入浴可能で、自宅にて1週間程度軟膏を塗布してもらいます。

経過

 治療後に紫外線をあびたり、掻いたり、また体質によっては一時的に炎症後の色素沈着(PIH)を来すことがあります。徐々に薄くなりますが、色素沈着が目立つ方はトラネキサム酸やビタミンCの内服、またハイドロキノンなどの美白外用剤を使用することもあります。

※炎症後の色素沈着は、液体窒素より炭酸ガスレーザーの方が比較的軽くて済む傾向にあります。

酒さ

酒さ

原因と病態

 酒さとは、鼻や両頬を中心に顔が全体的に赤くなる皮膚の病気です酒さを診断するためには、酒さ以外の赤ら顔を来す皮膚疾患の鑑別が重要です。
 赤ら顔を来す皮膚疾患には、アレルギー性接触皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、空気暴露性接触皮膚炎(いわゆる花粉皮膚炎)、脂漏性皮膚炎アトピー性皮膚炎、膠原病などがあげられますが、これらが単独で存在しているばかりではなく、混在・合併していることが診断や治療を難しくしています。
 はっきりとした原因はわかっていませんが、

  • 刺激物(辛い食べ物、アルコールやカフェインなど)の摂取
  • 寒暖差
  • 紫外線
  • 感情の高ぶり
  • 激しい運動
  • ホルモンの変化・異常
  • 喫煙
  • その他、誤った(行き過ぎた)スキンケア などでも悪化するとされています。
診断・検査

 酒さの診断には詳細な問診(表)とダーモスコピー(拡張した脂腺や脂腺性毛包周囲の紅斑、脂腺性毛包を取り囲む毛細血管網、不規則な毛細血管拡張、毛包虫の増加など)が有効です。
 その他、酒さ疑いの患者さんに行うスクリーニング検査としては血液検査にて好酸球増多の有無、肝酵素異常、甲状腺機能障害の有無、アレルギーの有無、膠原病の有無などを調べることもあります。

目的確認事項
環境要因・増悪因子季節性変化:暖気、日光、紫外線、花粉症との関連
月内変化:生理周期との関係
医原性要因・治療経過ステロイド外用薬の使用の有無、抗ヒスタミン薬の効果
合併症の有無甲状腺腫大の有無、膠原病の有無
皮疹の状態ダーモスコピー所見
分類
症状特徴
紅斑毛細血管拡張型(1型)・持続する顔の赤み
・鼻を中心に頬や眉間にも赤みが広がりはじめる
・かゆみや刺激感などの症状が加わる
丘疹膿疱型(2型)ニキビのようなぶつぶつや膿を伴う発疹ができる
瘤腫型(3型)鼻が変形し、皮膚が厚くなる場合がある
眼型酒さ(4型)目がゴロゴロし、眼瞼炎や結膜炎を発症する
治療

 上記分類に対して、それぞれ適切な治療法を選択します。当院では原因の検索と排除、化粧品を含めたスキンケア指導、外用薬、漢方薬、手術療法、光治療、レーザー治療などを組み合わせて行っています。一般的に行われている治療法を下に列記しますが、一部保険適応外の治療法もありますので詳しくは診察時に医師にお問い合わせください。
 ※2022年5月皮膚疾患医療用外用薬国内シェアNo1マルホのロゼックスゲル®が酒さに対し効能追加されました。

症状治療法
紅斑・可逆性血管拡張外用薬(ロゼックス)、漢方薬、ビタミン剤、スキンケア、日常生活指導など
固定された血管拡張Nd:YAGレーザー光治療(IPL)、ダイレーザー
丘疹・膿疱外用薬(ロゼックス)、抗生剤内服、アゼライン酸 など
鼻瘤・肉芽腫手術(減量)、アブレーションなど
※当院ではダイレーザー以外のほぼすべての治療に対応しています。
漢方薬

 東洋医学では酒さを瘀血(おけつ:血液の流れが悪く、滞りがちになること)と熱(炎症)ととらえるようです。瘀血に対しては桂枝茯苓丸や加味逍遙散、熱に対しては清熱作用をもつ石膏(せっこう)や知母(ちも)を多く含んだ白虎加人参湯などを中心に、患者さんのタイプにより使いわけています。
 その他、ニキビ様の丘疹がある場合には十味敗毒湯、高度の炎症がある場合には清上防風湯、慢性的な炎症には荊芥連翹湯なども使用します。

その他

 酒さと診断された患者さんの中には、更年期症状によるホットフラッシュなどが混在している場合もあります。その場合、先に述べた漢方薬(駆瘀血剤)やプラセンタ注射などを行うと劇的な改善が得られる場合もあります。

酒さ様皮膚炎

酒さ様皮膚炎

酒さ様皮膚炎とは

 ステロイド外用剤を長期間塗布した部位にかゆみ、灼熱感などを伴う赤みや丘疹きゅうしん(ブツブツ)が現れる皮膚疾患です。

原因

 長期にわたってステロイド外用剤を用いることで発症するとされています。ただしステロイド外用剤の使用を急に中止すると、中止後しばらくの間リバウンド生じ、症状が悪化することもありますので注意が必要です。

診断

 ステロイド外用剤の使用歴の有無、病歴、ダーモスコピー所見などを総合的に見て診断します。その他、酒さやアトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎等との鑑別も大切です。

治療

 ステロイドの外用が原因ですので、ステロイドの外用を中止することが重要です。しかしながら先にも述べた通り、急な中止でリバウンドを生じたり、さらに症状が悪化することもあります。一般的にステロイドを外用した期間の2倍程度の期間をかけて徐々に症状を改善させていきます。具体的にはステロイドの強さを弱くしたり、外用の回数を減らしたりしながらリバウンドを防ぎます。また酒さ様皮膚炎にタクロリムス軟膏を外用することもありますが、賛否両論あり検討が必要です。

その他

 その他、症状に応じて漢方薬やアゼライン酸なども併用します。詳しくは酒さのページをご参照ください。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは

 脂漏性皮膚炎は「脂漏性湿疹」とも呼ばれていますが、あまりかゆみがないのが特徴です。皮脂の多い頭部や髪の生え際、耳の後ろ、前頭部、鼻の周りに発生しやすく、女性よりも男性によく見られる疾患です。また生後数カ月の赤ちゃんにもよく見られます。

症状

 初期には、頭皮にフケが目立ったり、眉毛や小鼻周辺に赤みや肌荒れを生じたりしますが、かゆみが少ないので見過ごしされがちです。放置することで症状が進み、フケが大きくなり、かさぶたのようなかたまりになることもあります。

原因

 はっきりとした原因はわかっていませんが、直接的な原因の一つとして皮脂の過剰分泌が挙げられます。皮脂の過剰分泌については、体質的要素や環境的要因、精神的ストレスなどが関係するとされています。
 また、皮膚に常在するマラセチア菌が皮脂を栄養源とし皮脂に含まれる脂肪酸を分解することが肌荒れの原因となるとも考えられています。

治療

 症状の程度によって、炎症を抑えるステロイド外用剤やケトコナゾールが配合された抗真菌外用剤を使用します。また、皮脂の代謝を助けたり、分泌をおさえるビタミンBの内服などを併用することもあります。
 自由診療にはなりますが、アゼライン酸や抗真菌剤ミコナゾールを含有したシャンプーを使用することもあります。

その他

・シャンプー後に髪が濡れたままにしておくと、頭皮で雑菌が繁殖しやすくなります。洗髪後には早めにドライヤーで髪を乾かすように心掛けましょう。
・顔や身体には化粧水・乳液・ボディークリームなどで適度な保湿を行いましょう。皮脂の過剰な分泌を抑えることが可能です。
・アルコール、香辛料などの刺激物、甘い食べ物、脂っこい食べ物などを摂取しすぎると皮脂過剰分泌の原因となります。バランスの良い食生活を心掛けましょう。
※抗真菌剤ミコナゾールを含有したシャンプーやボディソープのサンプルを用意しています。お気軽にお問い合わせください。

皮脂欠乏症

皮脂欠乏症

皮脂欠乏症とは

 皮脂欠乏症とは乾皮症ともいわれ、皮膚が乾燥し時にかゆみを伴う状態のことです。要因として大きく以下の3つに分けられます。

要因

①生理的要因:年齢等による皮膚生理機能の未発達、低下など
②環境要因:季節的な空気の乾燥、暖房等による低湿度環境、過度な紫外線、過度な洗浄、不適切なスキンケアなど
※最近では吸湿発熱素材を使用した衣服や電気毛布使用による乾皮症が増えている印象です。
③非生理的要因:皮膚疾患および全身性疾患、抗がん剤投与・放射線治療といった医療行為に起因するもの

病態

 正常な皮膚は、角層細胞間脂質や天然保湿因子による皮膚内の水分保湿機能と皮脂や汗によって形成される皮脂膜の両方の働きにより、乾燥から守られています。皮脂欠乏症では角層水分含有量が低下することは共通していますが、皮膚バリア機能の指標とされる経費水分蒸散量(TEWL)の動きはその要因により一定していません。一部の皮脂欠乏症では皮膚バリア機能が障害された状態を伴うことで、皮膚の水分が喪失するだけでなく、外界の物質や微生物などが侵入しやすくなり、さまざまな皮膚のトラブルを引き起こします。

治療

 皮脂欠乏症の治療にはまず保湿剤が用いられます。炎症が強く湿疹や皮膚炎を来している場合にはこれにステロイド外用剤などを併用します。
 保湿剤には、皮膚表面を油性成分で被膜することによって皮膚からの水分蒸散を防止し、皮膚を柔軟にするエモリエント剤と、吸湿性の高い水溶性成分を含み直接的に角層水分を増加させるモイスチャライザーがあります。
 代表的なエモリエント剤にはワセリンやプロペトなどがあり、皮膚表面に油脂膜を形成することで水分蒸散を防ぎます。炎症を起こした皮膚にも刺激性が少ない利点がありますが、べたつきがあり使用感に劣る部分もあります。
 モイスチャライザーにはヘパリン類似物質や尿素など保水性分を含んだものがあり、その剤形もバリエーション豊富です。
 

その他

 日常生活において注意すべき点として
①入浴後には角層から水分が蒸散するため、早めに保湿をする
②石鹸やボディーソープの過度な使用、すすぎ残しに注意する
③ナイロンタオルやブラシは角層を傷つけやすいため使用は控える
④冬場など乾燥する時期には適宜加湿器を使用する
⑤吸湿発熱素材や起毛した服など身につけるものにも気を付ける
⑥紫外線への長時間の暴露に気を付ける。適宜日焼け止めを使用する

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法とは

 スギ花粉症は、スギ花粉が原因となっておこるアレルギー疾患です。一方通年性アレルギー性鼻炎は、ダニ、カビ、虫、ペットの毛などが原因となり、季節に関係なく症状を来す疾患で、どちらも、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を伴います。
 このうち、スギ花粉症と通年性アレルギー性鼻炎に治療のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から投与し続けることで、身体を徐々にアレルゲンに対して慣らしていき、アレルギー症状を緩和したり、アレルギー自体を克服することも期待できる治療です。

治療の流れ

問診と検査

 アレルギー性鼻炎かその他の疾患かを判断するために、症状が出る時期やその程度、アレルギーの既往の有無などを問診します。
 その結果に応じて、皮膚反応テスト、血清抗体検査、鼻鏡検査、鼻汁検査などを行います。
 アレルゲン免疫療法は、原因となるアレルゲンを用いて行う治療法ですので、原因となるアレルゲンを特定する確定診断が必須になります。

治療法

 現在行われているアレルゲン免疫療法には「皮下免疫療法」や「舌下免疫療法」がありますが、舌下免疫療法が登場したことで、自宅での治療が可能となりました。
 舌下免疫療法は、舌の裏側に薬を一定時間保持した後に飲み込む治療法です。アレルゲンを投与する治療法ですので、アレルギー反応が起こる可能性がまれにあることから、初回は医師のもと(病院で)で服用します。2回目以降は自宅での服用が可能です。初めは少量から開始し、徐々にアレルゲンの量を増やして一定量のアレルゲンを長期間投与します。
 治療は3年以上継続することが推奨されており、3~5年続けることで、長期にわたり症状を抑えるまたは克服する可能性のある治療法です。