新型コロナウイルスによる後遺症『抜け毛』について 

 新型コロナ感染後に生じた抜け毛の問題について、以前ワイドショーで海外の事例が紹介されていました。知識としては知っていたのですが、最近になり当院にもコロナ感染後に抜け毛を生じた方が来院されています。その方々に共通することは、コロナ感染から回復した後、1ヵ月程度を経て抜け毛を自覚されたとのことです。
 コロナ感染に関しては未知の部分も多く、正確なことはわかりませんが、これまでの報告事例などをまとめ考察してみます。


 一般的に毛髪は5~6年の成長期、2~3週間の退行期、3~4か月の休止期のサイクルを繰り返しています。成長期が終わった後、毛根が委縮して休止期に入ります。それぞれの毛でサイクルが異なるため通常一斉には抜けることはありません。しかしながら、新型コロナに感染すると何らかの原因で成長期が急にストップしていまい、休止期に入ってしまうのではないかと考えられています。これを休止期脱毛といい、その他高熱、出産後、外傷、術後、急激な体重減少、急激な精神的ダメージなどでも同様のことが起こります。
 国立国際医療研究センター * 1からの報告では新型コロナ患者の24%が回復期に脱毛を訴え、新型コロナ発症2ヶ月後くらいから始まり、およそ100日後くらいまで続くことが多いとされていますが、海外の報告*2では、重症度に関係なく、新型コロナ発症から3〜7ヶ月後くらいに脱毛が現れるとの報告もあり幅が見られます。
*1Prolonged and Late-Onset Symptoms of Coronavirus Disease 2019
*2Telogen effluvium: a sequela of COVID‐19

 上記データを読み解くと、特に対策をせずとも脱毛からおよそ半年くらいで徐々に毛髪が回復してくると予想され、実際に他でもそのような報告が多数認められます。一般的な休止期のサイクルが3~4か月ですので、何らかの原因で退行期を経ずにいっぺんに休止期に入った毛髪が、3~4か月(100日前後)の休止期を経て再び成長期に入り発毛したと考えるとそれを裏付けることになると思います。
 しかしながら、急激な脱毛を半年もそのままにしておくのは精神的にもかなり負担となります。現在コロナ脱毛に対する治療のガイドラインなどはありませんが、血管を拡張することで発毛効果が認められるミノキシジルやその他外用剤、内服薬、またサプリメントなどを用いて治療を行うことが多いようです。
 年齢、性別、既往歴の有無などにより選択できる治療法にも幅がありますが、当院でも対応していますので、気になる方はお気軽にご相談ください。


 

コロナ禍におけるマスクによる肌トラブル

 コロナ禍における生活習慣の変化で、敏感肌を自認する20~30代の女性の98%がなんかかの肌トラブルを実感しているとのデータがあります。具体的にはニキビの悪化、口回りの乾燥、肌荒れ、肝斑の悪化などです。

原因

『ニキビの悪化
 マスク内の皮膚温が1度上がると、皮脂分泌は10%増加すると言われています。しかも、それはマスク内のみならず、額などのマスクに覆われていない部分にも起こります。その結果、皮脂分泌増加による毛穴の閉塞、常細菌叢の乱れによりニキビの悪化を来すと考えられます。
『口回りの乾燥
 マスク内は高温多湿の状態です。その結果TEWL(経表皮水分蒸散量)が増え、実は皮膚は乾燥の方向に傾いているのです。20代以降のニキビは口回り、顎回りにできることが多く、その多くは乾燥やストレスに起因すると言われています。
『肌荒れ
 上記理由による乾燥に加え、不織布による摩擦が加わります。さらに皮脂分泌の増加、常細菌叢の乱れ、汗によるpHの上昇も加わり、脂漏性湿疹などの肌荒れを来します。
『肝斑の悪化
 肝斑の悪化は外的要因、内的要因様々ありますが、マスクによる摩擦や肌荒れによる慢性炎症の継続も大きな要因と考えられます。

対策

『スキンケア』
 ①洗う:化粧品は落としやすいものを使用し、洗顔時にできるだけ摩擦が入らないようにします。少ない量のクレンジング剤やふき取りシートは摩擦を強め肌を痛める原因となります。洗顔はたっぷりの泡で手が肌に触れないように行います。
 ②補う:セラミド入りの化粧品を使用し適度な保湿を行います。ニキビのあるかたは油分の多い化粧品はさけ、ノンコメドジェニックテスト済みのものを使います。
 ③守る:UVケアは必ず行います。(敏感肌の方はノンケミカルのものを選びます)
『ニキビ対策』
 ①クリニックで処方されるBPO/アダパレン外用製剤
 ②外用抗菌薬
 ③内服薬(抗菌薬/漢方薬/ビタミン剤)
 ④生活習慣の見直し
『マスクの見直し』
 ウイルス感染対策予防の観点からは不織布のマスクが推奨されます。しかしながら、不織布は表面の繊維による肌への刺激・摩擦が加わりやすく、またマスク内部が高湿度になりがちです。
 スキンケアの観点からはシルクや綿のマスクが推奨されますが、不織布の中にそれらの素材を一枚挟むだけでも効果が認められます。
 
 ※院内に不織布マスクにかぶせるタイプの綿マスクを置いてありますので、是非ご覧ください。

こどもの『あざ』への不安がなくなる本

 こどもの『あざ』の治療で来院される方がたくさんいらっしゃいます。どんな種類の『あざ』なのか?どんな治療があるのか?経過はどうなるのか?不安でいっぱいだと思います。
 診療時間内にすべての疑問や不安にお答えするのは難しいかもしれませんし、一度聞いても完全に理解するのも困難です。そのような方にお勧めの本です。
 大学の同級生(矢加部先生)が上梓した本で、医療者向けでなく一般の方向けにわかりやすい言葉で書かれています。
 院内の本棚に置いてありますので是非ご覧ください。