2022.04.20 / 院長ブログ
酒さにおけるスキンケア
コロナ禍においてマスクを着用する機会が増えているせいか、ここ数年お肌の悩みを訴える患者さんが増えている印象です。その中で赤ら顔を来す疾患に酒さ、酒さ様皮膚炎、脂漏性皮膚炎などありますが、実際には診断を付けること自体が難しく、また複数の疾患・要因が混在している状態もあるように感じます。
原因や悪化因子も多種多様ありますが、酒さの治療においてスキンケアがまず基本となりますので、そこから見直してみましょう。
不安のあまり過剰なスキンケアを行っている方
悪化した皮膚を隠すため、お化粧を過剰なまでにされている方がいらっしゃいます。その場合、お化粧を落とすのにクレンジングが必須になりますが、特にオイルクレンジングは界面活性剤を多く含むため結果としてお肌をさらに傷つけてしまう場合もあるようです。酒さのかたは、お肌が敏感になっていますので、普段より負担の少ないスキンケアを心掛けるべきと考えます。そのためには、まずクレンジングを必要としない程度のメイクにとどめるように心掛けましょう。洗顔だけでマイルドにケアをすることで、徐々にお肌の炎症が落ち着き、その結果お化粧も少なくて済むようになると期待されます。
また、特に乾燥に対して強い不安感から、過剰なまでに保湿化粧品を使う方がいらっしゃいますが、接触性皮膚炎を起こしたり、油分の高いクリームなどを使いすぎてニキビを併発したりする方も見られます。酒さの方は、少なくともアトピー性皮膚炎のように強い乾燥を起こすことはありません。むしろ酒さの方の皮膚はとても敏感になっていますので、多少の乾燥を感じてもあまり不安にならず、なるべくシンプルなスキンケアを心掛けましょう。
また、ヘパリン類似物質含有のクリームなどを使われている方もいらっしゃいますが、その血管を拡張させる作用でより赤ら顔が強くなったり、クリームの油分でニキビ様の丘疹を生じることがあります。できるだけ油分を多く含まない化粧水や乳液、保湿ジェルなどを使用する方が安全と考えます。
紫外線対策
紫外線は酒さの主要な悪化因子とされています。日焼け止めを使用することが推奨されますが、日焼け止めはその効果を保つために3~4時間おきに塗りなおしが必要とされています。ただ、現実的にはお化粧をした場合、頻回に塗りなおしをすることは困難です。そこで白粉(おしろい)やパウダーファンデーションを使った紫外線防御がお勧めです。
パウダー類はその形状自体が紫外線を反射させる効果があり、またその多くは酸化亜鉛と二酸化チタンの紫外線散乱剤を含みます。この2つはFDAが安全かつ有効な紫外線防御成分と認める、ただ2つの成分です。
ちなみに紫外線散乱剤だけで作られた日焼け止め(ノンケミカル)もありますが、パウダーファンデーションは基本的に石鹸で落とせるため、傷んだお肌には特におすすめです。
※日焼け止めに関しては、ブログも参照ください。敏感肌のための日焼け止め選び | ゆげクリニック (yuge-clinic.com)
まとめ
・できるだけクレンジングを必要としないお化粧にとどめる。
・洗顔は洗浄力のマイルドなものを使用し、泡で洗う。
・シンプルなスキンケアに心掛ける。
・油分の高いクリームやワセリンは使用しない。
・セラミドやヒアルロン酸を含む化粧品で保湿を行う。※ブログ参照大人にきびの方のためにスキンケア | ゆげクリニック (yuge-clinic.com)
・紫外線対策にはパウダーファンデーションを使用する。