アゼライン酸

アゼライン酸は海外では昔からニキビの治療薬として使用されている成分ですが、日本ではあまり知られていません。海外では、医師が処方する医薬品として使用されている場合もありますが、日本では医療用医薬品としては認可されておらず、「化粧品の含有成分の1つ」という位置づけになっています。

アゼライン酸は、もともと小麦やライ麦などの穀物や酵母などの天然由来のものに含まれる酸(飽和ジカルボン酸)であり、普段日常的に私たちが口にしているものに含まれています。そのような天然のものに含まれている成分であるため、肌に塗ったときの刺激感が少なく、妊娠中のニキビ治療にも使用が可能です

アゼライン酸の効果としては、
 角化異常を抑制(古い角質が詰まり、角栓ができるのを抑制する)
 抗菌活性
 皮脂分泌を抑制
 抗炎症作用
 メラニン産生を抑制 など

があります。これらの作用を期待して、ニキビや酒さ(慢性的な赤み、ほてり)、脂漏性皮膚炎の治療にも用いられています。30年以上にわたり、世界各国でニキビ用医薬品として承認、使用されており、欧米のニキビのガイドラインでは、アゼライン酸による治療はセカンドラインでも推奨されていますが、日本では、皮膚科学会が策定している「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2016」において、アゼライン酸による治療は、「推奨度:C1(面皰・炎症性皮疹に,アゼライン酸外用を選択肢の一つ として推奨する.但し,保険適用外であることに配慮す る必要がある)」とされています。作用がなく比較的安全に使えることを考慮すると、アゼライン酸はニキビ酒さ(赤ら顔)脂漏性皮膚炎に対して使用することは、有効であると思われます。