2022.02.09 /
酒さ

原因と病態

 酒さとは、鼻や両頬を中心に顔が全体的に赤くなる皮膚の病気です。酒さを診断するためには、酒さ以外の赤ら顔を来す皮膚疾患の鑑別が重要です。
 赤ら顔を来す皮膚疾患には、アレルギー性接触皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、空気暴露性接触皮膚炎(いわゆる花粉皮膚炎)、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、膠原病などがあげられますが、これらが単独で存在しているばかりではなく、混在・合併していることが診断や治療を難しくしています。
 はっきりとした原因はわかっていませんが、

  • 刺激物(辛い食べ物、アルコールやカフェインなど)の摂取
  • 寒暖差
  • 紫外線
  • 感情の高ぶり
  • 激しい運動
  • ホルモンの変化・異常
  • 喫煙
  • その他、誤った(行き過ぎた)スキンケア などでも悪化するとされています。
診断・検査

 酒さの診断には詳細な問診(表)とダーモスコピー(拡張した脂腺や脂腺性毛包周囲の紅斑、脂腺性毛包を取り囲む毛細血管網、不規則な毛細血管拡張、毛包虫の増加など)が有効です。
 その他、酒さ疑いの患者さんに行うスクリーニング検査としては血液検査にて好酸球増多の有無、肝酵素異常、甲状腺機能障害の有無、アレルギーの有無、膠原病の有無などを調べることもあります。

目的確認事項
環境要因・増悪因子季節性変化:暖気、日光、紫外線、花粉症との関連
月内変化:生理周期との関係
医原性要因・治療経過ステロイド外用薬の使用の有無、抗ヒスタミン薬の効果
合併症の有無甲状腺腫大の有無、膠原病の有無
皮疹の状態ダーモスコピー所見
分類
症状特徴
紅斑毛細血管拡張型(1型)・持続する顔の赤み
・鼻を中心に頬や眉間にも赤みが広がりはじめる
・かゆみや刺激感などの症状が加わる
丘疹膿疱型(2型)ニキビのようなぶつぶつや膿を伴う発疹ができる
瘤腫型(3型)鼻が変形し、皮膚が厚くなる場合がある
眼型酒さ(4型)目がゴロゴロし、眼瞼炎や結膜炎を発症する
治療

上記分類に対して、それぞれ適切な治療法を選択します。当院では原因の検索と排除、化粧品を含めたスキンケア指導、外用薬、漢方薬、手術療法、光治療、レーザー治療などを組み合わせて行っています。一般的に行われている治療法を下に列記しますが、一部保険適応外の治療法もありますので詳しくは診察時に医師にお問い合わせください。
 ※2022年5月皮膚疾患医療用外用薬国内シェアNo1マルホのロゼックスゲル®が酒さに対し効能追加されました。

症状治療法
紅斑・可逆性血管拡張外用薬(ロゼックス)、漢方薬、ビタミン剤、スキンケア、日常生活指導など
固定された血管拡張Nd:YAGレーザー光治療(IPL)、ダイレーザー
丘疹・膿疱外用薬(ロゼックス)、抗生剤内服、アゼライン酸 など
鼻瘤・肉芽腫手術(減量)、アブレーションなど
※当院ではダイレーザー以外のほぼすべての治療に対応しています。
漢方薬

 東洋医学では酒さを瘀血(おけつ:血液の流れが悪く、滞りがちになること)と熱(炎症)ととらえるようです。瘀血に対しては桂枝茯苓丸や加味逍遙散、熱に対しては清熱作用をもつ石膏(せっこう)や知母(ちも)を多く含んだ白虎加人参湯などを中心に、患者さんのタイプにより使いわけています。
 その他、ニキビ様の丘疹がある場合には十味敗毒湯、高度の炎症がある場合には清上防風湯、慢性的な炎症には荊芥連翹湯なども使用します。

その他

 酒さと診断された患者さんの中には、更年期症状によるホットフラッシュなどが混在している場合もあります。その場合、先に述べた漢方薬(駆瘀血剤)やプラセンタ注射などを行うと劇的な改善が得られる場合もあります。