2021.05.04 /
顔や首のイボ(脂漏性角化症など)

 「顔や首のイボ」を主訴の来院される患者さんはたくさんいらっします。患者さんのいう「イボ」には、いろいろな疾患が含まれていますが、そのほとんどが脂漏性角化症や軟性繊維腫(アクロコルドン)です。顔の脂漏性角化症の場合、加齢や紫外線が主な原因です。一方、軟性線維種(アクロコルドン)の場合、首の周りや脇の下など皮膚が擦れる部分に多発する傾向にあります。これらの「イボ」は、良性であるため放置しても何も問題はありませんが、人目につきやすいため気にされて来院されるようです。またかゆみを主訴に来院される方もいらっしゃいます。

治療

 顔の脂漏性角化症の場合、一般的に液体窒素を利用した凍結療法がおこなわれています。-196℃の液体窒素を「顔のイボ」にあて凍結することで、徐々にかさぶたとなり、1週間程度で脱落します。治療に伴う痛みは少なく、首や腋窩、体幹部にも可能ですが、顔以外の部位は色素沈着を起こしやすいことが欠点です。
 首や腋窩の茎のある小さな「イボ」の場合には、ハサミで切り取るのが簡単できれいになります。ほんの一瞬チクっとした痛みはありますが、ほぼ出血もありません。麻酔を希望される方もいらっしゃいますが、麻酔の注射の方がむしろ痛みを伴いますので、そのまま切り取るのをお勧めしています。
 その他、首や体幹部に多発する 茎のない平坦な 「イボ」 には、当院では炭酸ガスレーザーで蒸散させる方法をお勧めしています。部位や大きさによっては局所麻酔下に行うこともありますが、周囲への熱損傷の少ないSPモードを使用することで麻酔無しでも短時間で多数の 「イボ」 に対応可能です。
 いづれの場合も、当日から入浴可能で、自宅にて1週間程度軟膏を塗布してもらいます。

経過

 治療後に紫外線をあびたり、掻いたり、また体質によっては一時的に炎症後の色素沈着(PIH)を来すことがあります。徐々に薄くなりますが、色素沈着が目立つ方はトラネキサム酸やビタミンCの内服、またハイドロキノンなどの美白外用剤を使用することもあります。

※炎症後の色素沈着は、液体窒素より炭酸ガスレーザーの方が比較的軽くて済む傾向にあります。