トレチノイン、ハイドロキノロン

トレチノイン

 トレチノイン(オールトランスレチノイン酸)とはビタミンA(レチノール)の誘導体で、その生理活性はビタミンAの約50-100倍とされています。
皮膚に対して次のような作用を有します。

①ピーリング作用により表皮の深い層にあるメラニン色素を排出
②肌のターンオーバーを促進
③皮脂のコントロール
④長期間外用することでコラーゲンの分泌を高め、しわが減り、肌のハリを実感

 しみ・そばかす・くすみ・小じわ・にきび・ニキビ跡・毛穴の開きが治療の対象となります。

 またトレチノインは、レチノイド皮膚炎(A反応)と呼ばれる副作用(赤み、皮むけ、ひりつき、痒み)が使い始めの多くのケースでみられます。反応の出かたには個人差はありますが、使用開始後数週間くらいの間に生じやすく、反応が強い場合は使用頻度を減らしたり、濃度を調節して対応します。
 当院では0.025%、0.05%、0.1%の3種類を用意しており、使用する方の肌の状態に応じて選択し、リバウンド防ぐために濃度をコントロールします。
 ※通常0.05%で十分な効果が得られます。

ハイドロキノロン

 ハイドロキノロンとは、メラニン合成酵素であるチロジナーゼの阻害剤であり、さらにメラニンを作るメラノサイトに対して細胞毒性があります。
 すなわち、シミの原因であるメラニンの生成を抑えると同時に、今あるメラニン色素自体を薄くする効果があります。

 ハイドロキノンは、含有濃度が高いほど刺激も強く、赤み痒み、ひりつきなどの症状が起こりやすくなります。長期間漫然と使用すると皮膚の一部が白く抜ける「白斑」や、逆に皮膚が黒くなる「組織黒変症(Ochronosis)」を生じるリスクもあります。

 効果的かつ安全にハイドロキノンを使うために、当院では厳密なスケジュールに則って治療を行っています。

2つの外用薬を併用する理由

 お肌のターンオーバーは1か月程度で行われるのが理想的ですが、一般的に年齢とともに遅くなります。ターンオーバーが遅くなると角層が厚くなり、角質内にメラニンが蓄積することでくすみやシミの原因となります。
 トレチノインを外用すると肌のターンオーバーを正常化し、厚くなった角層やメラニンを排出することでくすみがとれ、透き通ったお肌に生まれ変わります。継続して使用することで、刺激された線維芽細胞がコラーゲンの分泌を高め、小じわの減少やお肌の張りを実感できるようになります。
 さらにハイドロキノンを外用すると、今あるメラニンを薄くするばかりでなく、メラニンの生成を抑えることで、新たなシミの原因を根本から予防することができます。

注意点

 現在国内ではハイドロキノンは一般でも購入可能になっています。しかしながら濃度が同じであっても、基剤や添加物の違いにより好ましくない反応が強く出ることがあります。また、インターネット等では高濃度のハイドロキノン外用剤を見かけることがありますが、それ用いて美白治療を行うことで、メラノサイトが抑制され白斑を生じることがありますので注意が必要です。
 当院では専用の写真撮影機(re-Beau2)にてシミの種類などの評価を行った後、厳密なスケジュールに則って治療を行っています。また、使用する方の肌の状態、刺激に対する反応によって、3種類のハイドロキノンを準備しています。