2022.02.19 /
皮脂欠乏症

皮脂欠乏症とは

 皮脂欠乏症とは乾皮症ともいわれ、皮膚が乾燥し時にかゆみを伴う状態のことです。要因として大きく以下の3つに分けられます。

要因

①生理的要因:年齢等による皮膚生理機能の未発達、低下など
②環境要因:季節的な空気の乾燥、暖房等による低湿度環境、過度な紫外線、過度な洗浄、不適切なスキンケアなど
※最近では吸湿発熱素材を使用した衣服や電気毛布使用による乾皮症が増えている印象です。
③非生理的要因:皮膚疾患および全身性疾患、抗がん剤投与・放射線治療といった医療行為に起因するもの

病態

 正常な皮膚は、角層細胞間脂質や天然保湿因子による皮膚内の水分保湿機能と皮脂や汗によって形成される皮脂膜の両方の働きにより、乾燥から守られています。皮脂欠乏症では角層水分含有量が低下することは共通していますが、皮膚バリア機能の指標とされる経費水分蒸散量(TEWL)の動きはその要因により一定していません。一部の皮脂欠乏症では皮膚バリア機能が障害された状態を伴うことで、皮膚の水分が喪失するだけでなく、外界の物質や微生物などが侵入しやすくなり、さまざまな皮膚のトラブルを引き起こします。

治療

 皮脂欠乏症の治療にはまず保湿剤が用いられます。炎症が強く湿疹や皮膚炎を来している場合にはこれにステロイド外用剤などを併用します。
 保湿剤には、皮膚表面を油性成分で被膜することによって皮膚からの水分蒸散を防止し、皮膚を柔軟にするエモリエント剤と、吸湿性の高い水溶性成分を含み直接的に角層水分を増加させるモイスチャライザーがあります。
 代表的なエモリエント剤にはワセリンやプロペトなどがあり、皮膚表面に油脂膜を形成することで水分蒸散を防ぎます。炎症を起こした皮膚にも刺激性が少ない利点がありますが、べたつきがあり使用感に劣る部分もあります。
 モイスチャライザーにはヘパリン類似物質や尿素など保水性分を含んだものがあり、その剤形もバリエーション豊富です。
 

その他

 日常生活において注意すべき点として
①入浴後には角層から水分が蒸散するため、早めに保湿をする
②石鹸やボディーソープの過度な使用、すすぎ残しに注意する
③ナイロンタオルやブラシは角層を傷つけやすいため使用は控える
④冬場など乾燥する時期には適宜加湿器を使用する
⑤吸湿発熱素材や起毛した服など身につけるものにも気を付ける
⑥紫外線への長時間の暴露に気を付ける。適宜日焼け止めを使用する