2021.01.22 /
手根管症候群
手根管症候群とは
手の親指から薬指にかけてしびれや痛みを感じる病気です。手のひらの付け根の部分には、「手根管」というトンネルがあります。このトンネルは、手首の骨と靭帯(じんたい)に囲まれていて、その中を9本の腱(けん)と正中神経が通っています。腱を覆う膜や、それぞれの腱を連結している「滑膜」が炎症を起こし、腫れて厚くなると、この正中神経が圧迫されます。正中神経が圧迫されることで、手の痛みや指のしびれが起こる病気が「手根管症候群」です。

症状
手根管症候群に特徴的な症状として「親指から薬指にかけてのしびれ・痛み」、「夜間や早朝に症状が悪化する」、「手を振るとしびれ・痛みが緩和する」などです。また病気が進行すると親指の付け根の筋肉が痩せてきます。これは、筋肉を動かす神経が障害され、親指の付け根筋肉が萎縮してしまうため起こります。そのため、つまみ動作がしにくくなります。
治療
まずは炎症を抑えるために安静にすることが大切です。その他、神経を回復させるビタミン剤の内服やステロイドの注射などを行います。それでも症状が改善しなかったり、再発を繰り返すようであれば手術を検討します。
手術は局所麻酔にて行います。親指の付け根から手関節にかけて2~3㎝程度切開し、靭帯を切離して手根管開放します。手術は15分程度で終了し、当日は出血を抑えるため包帯を巻きますが、翌日からは創部も含めて洗浄・入浴が可能です。自宅にて絆創膏等にて保護を行い、抜糸は10日前後で行います。
手術後は痛みもほとんどありませんので、仕事や日常の生活に支障なく手術が受けられます。
注意点
筋肉の萎縮が始まると手術を行っても完全な回復が得られない場合もありますので、気になる症状がある方はできるだけ早めの受診をお勧めします。