アクネトレント(イソトレチノイン)
アクネトレントとは
アクネトレントはイソトレチノインというビタミンAの一種で、①皮脂の分泌を抑える作用、②アクネ菌に対する抗菌作用、③抗炎症作用に優れているため、重症の炎症性ニキビに対して大きな効果が期待できます。
アクネトレント(イソトレチノイン)は、海外において中等度~重度のニキビ治療に広く用いられ、欧州や米国の治療ガイドラインでは高いレベルで推奨されており、全世界で30年以上前から使用されています。
アクネトレント(イソトレチノイン)は、別名「飲むピーリング」とも言われており、皮膚面の古い角質が適度に剥けることで、毛穴が引き締まり、皮膚にハリツヤを与え、ニキビ跡の凹凸を滑らかにする作用も期待できます。
※使用した患者さんの90%以上で改善が見られ、再発率は30%以下とされていますが、残念ながら1~2%の患者さんには、全く効果が認められないと報告されています。
このような方におすすめ
①保険治療、自由診療を含めたその他の治療をしっかりと行なっているにもかかわらず、ニキビの再発がコントロールできない重症ニキビの方
②炎症の激しい嚢胞性にきびや結節性にきびがある方
③それにより、瘢痕を残す可能性が高い場合と予想される場合
治療のながれ
1 日 1 回内服(食後) 20mg (1 錠)/日から開始します。治療開始後1ヶ月間は、約3割の患者さんに一過性のニキビの増悪(好転反応)が認められます。個人差はありますが、早い方で4~12週間、通常16~24週間ほどで効果が期待できます。
改善が乏しい場合には40㎎(2錠)に増量する場合もあります。
通常6ヶ月を1クールとして内服を終了します。継続する場合は最低2か月の休薬期間をおいて再開します。
アクネトレント(イソトレチノイン)の世界的コンセンサス
①イソトレチノイン内服は、非常に重度のニキビ(嚢腫性ニキビや集簇性ニキビ)に対する最後の切り札である
②通常0.5〜1.0mg/kgの用量が推奨されている
③治療期間は4-6ヶ月間とする
④再燃や再発を防ぎ寛解状態を保つための累積投与量は120-150mg/kgである
⑤イソトレチノイン療法は、ニキビが完全に消失するまで続ける必要がある
起こりうる副作用
【重大な副作用】
・妊娠中の内服による、胎児に対する催奇形性
・うつなどの精神疾患(幻覚、幻聴)自傷行為、自殺企図
【その他の副作用】
・皮膚や粘膜の乾燥症状
・発疹、軽度の痒み ・眼瞼炎、結膜炎
・頭痛(高用量を内服した場合)
・筋肉痛、関節痛、横紋筋融解(運動中や運動後に生じやすいです)
・肝機能低下
・脱毛
・めまい、吐き気
などがありますが、皮膚や粘膜の乾燥症状以外は、まれな副作用です。
高頻度 | 皮膚や粘膜の乾燥・皮むけ | |
10%未満 | 光線過敏症・ドライアイ・喉の乾き・鼻出血・頭痛 | |
0.1%未満 | うつ病・急性膵炎・消化管出血・横紋筋融解症・黄疸・突然の視力低下・アナフィラキシー |
治療を受けられない方
・妊娠中、妊活中、授乳中の方
・15歳未満(成長期)の方
・テトラサイクリン系(ミノマイシン、ビブラマイシン等)の薬を内服中の方
・うつ病、その他精神疾患のある方
・肝機能、腎機能障害のある方
・中性脂肪、コレステロールの高い方
・糖尿病の方
・炎症性腸疾患のある方
・パラペン、大豆、ピーナッツアレルギー等のある方
・フルクトース不耐症のある方
・ビタミンA内服中、ビタミンAでアレルギーを生じたことがある方
・レーシック手術前後6カ月の方
併用に注意が必要な薬剤、サプリメント等
・内服ステロイド薬
・抗てんかん薬(フェニトイン等)
・サプリメントを含むビタミンA製剤