2021.01.22 /
いぼ
水いぼ、疣贅
どちらもウイルスが原因の疾患です。ひっかりたり、削ったりすることで広がってしまうことがありますので適切な治療が必要です。大きさ、数、部位によって内服、外用、液体窒素を使い分け、また場合によっては切除、レーザー焼灼も行います。
水いぼ(伝染性軟属腫)
原因と特徴
伝染性軟属腫ウイルスが原因で、ほとんどが子供にできます。光沢のある数㎜の皮膚の盛り上がりが、四肢、体幹に多数見られますが、手のひら、足の裏にはほとんどできません。
治療
ピンセットでイボをつまんで取り除く、いわゆるイボ取りが確実で早い治療法ですが、痛みを伴うことが欠点です。麻酔のテープを1時間前に貼付してから行うこともありますが、完全には痛みをコントロールできるわけではありません。自然に治ることも多いため、外用で気長に治療する考えや放置してもよいとのいう先生も多くいらっしゃいます。
※保護者の希望や本人の年齢、性格等によって臨機応変に対応しますが、経過を見ているうちに数が増えて結局イボ取りを行うことになることも少なくありません。個人的には少ないうちであれば、イボ取りを行う方が結果として痛みも最小限に抑えられ、早く治せるように感じています。
水いぼがあってもプールは入れるか?
夏が近づくと『水いぼの治療をしないと、保育園、幼稚園のプールに入れてもらえない』と外来に来られる方が多くみられます。皮膚科学会や小児科学会では、水いぼがあるとプールに入れないというのは間違いであると明記されています。
皮膚の学校感染症について
日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説
保育所における感染症対策ガイドライン
そもそも、水いぼは接触感染でうつりますので、園での日常の生活や、おもちゃを介してうつることも十分ありえます。プールだけが特別視されるのはおかしいですね。注意点として、タオル・浮き輪・ビート板などの共用は避け、プール後は肌をシャワーできれいに洗うように心がけましょう。
尋常性疣贅(イボ)
原因と特徴
ハピローマウイルスによって引き起こされます。表面に凹凸のある隆起した皮膚病変で手足の末端やあらゆる部位に見られます。ほとんどにイボは痛みやかゆみなどの症状を伴いません。子供に多く見られ、1~2年のうちに自然に消退することもありますが、触ることで周囲に広がってしまうこともよく見られます。
治療
保存的治療としては漢方薬の内服を行ったり、角質を柔らかくするテープを貼付したりします。そのほか液体窒素にて凍らせることによって皮疹を破壊したり、レーザーにて物理的に焼灼除去したり、大きさ・部位によっては局所麻酔下に切除したりすることもあります。
さまざまな治療法がありますが、どれも一長一短で、残念ながら確実は方法がありません。医師とよく相談してご自身に適した治療法を選択しましょう。
青年性扁平疣贅
原因と特徴
ハピローマウイルスによって引き起こされます。主に額や頬などの顔面、頚部、胸部、手背などに生じます。薄紅色で5mm~1cmほどの大きさの平べったい皮疹が多発します。表面はでこぼこした角化が目立ち、かゆみを伴います。
ウイルスは小さな傷などから体の内部に侵入し、感染します。眉などのムダ毛の処理後、髭剃りなどの後、蚊に刺された箇所を掻きむしった後などに感染し広がる傾向にあります。
治療
青年扁平疣贅の多くは特別な治療を行わなくても自然に治ることもありますが、なかには長期にわたって皮疹やかゆみが消えないこともあります。ヨクイニンと呼ばれるハトムギから抽出した成分の漢方薬を内服する方法や、液体窒素で皮疹を凍らせて破壊する方法、レーザーにて物理的に焼灼除去する方法など、さまざまな治療が行われています。